事業者にとって、税理士は非常に身近な存在ですが、基本的には同じ税理士と継続的に付き合うため、毎年税理士を変更するということはありません。
その分、初めて税理士と契約する人はもちろん、現在税理士と顧問契約を結んでいる人や企業でも、報酬の相場というのはなかなかわからないのが実情です。

本サイト上でも、税理士の報酬目安は出しておりますが、あくまで「目安」です。実際にはお客様の事情・業種・要望内容によって、それよりも高くなったり・低くなったりするということは珍しいことではありません。
では、税理士の報酬というのは、主に何を基に変動しているのでしょうか?

●税理士報酬を変動させる2つの大きい要因
税理士の報酬が主に何によって変動するかというと、「売上」と「手間賃」です。
今回は「手間賃」について具体的に説明していきます。

② 手間賃
「手間賃」というと、非常に幼稚な言い方ですが、具体的には「工数のかかる業務」や「時間拘束」に関係するものとお考え頂ければ問題ありません。
税理士事務所には、色々な業務を依頼することが出来ますが、その中には自社で行うことが可能なものもあります。当然、その業務を事務所に依頼したらした分だけ、税理士に支払う報酬が増額することになります。

具体的にはどういったものがその対象となるのか、以下に記載していきます。
1.申告書の作成、申告代行⇒税務関連書類の作成とその申告を代行してもらうとき
2.記帳代行⇒自社の会計記帳を行ってもらうとき
3.給与計算⇒従業員の給与計算を行ってもらうとき
4.年末調整⇒従業員の年末調整を行ってもらうとき
5.定期訪問⇒毎月や四半期に1度など、税理士(事務所の職員)と打ち合わせをするとき
6.税務調査立会⇒税務調査時に立ち会ってもらうとき
などが分かりやすいものです。

1の「申告書作成、申告代行」に関しては、税理士さんに依頼している人であれば、まずお願いする内容なので、これはほぼ手間賃としてカウントせずに、基本的な報酬の中に含まれている場合が一般的ですが、それ以外の業務は、依頼したらした分だけ、もしくはその事象が発生したときにだけ、報酬として支払うものです。

最近では、安価な会計ソフトが市販されていたり、クラウドの会計ソフトも存在したりするので、出来る限りの事務作業を小規模な段階から自社で行う所も多いですが、特に2、3の「記帳代行」と「給与計算」に関しては、会社の規模が大きくないうちは税理士さんにお願いすることが多い内容です。ただし、ある程度規模が大きくなってきたり、従業員数が多くなったりすると、結果として会社側で実施することになる業務です。理由としては、規模が大きくなってくると、税理士事務所としても業務量が増加しすぎる為、業務を受けるのが困難になるのと、自社で経理・総務等を雇える規模になってきたのであれば、自社で実施した方が早いからです。費用面でも、1名が専属で従事しなければならないほどの業務量となった場合は、当然自社で雇用した方が安いはずです。そうなると、チェックや質問を税理士さんにしていくことの方が多くなるでしょう。

極端な話、同じ売上・同じ業種の会社が二つあり、片方は「記帳代行・給与計算を税理士事務所に依頼して、税理士さんと打ち合わせも毎月実施」、
もう片方は「記帳と給与計算は自社で行い、税理士さんとの打ち合わせは四半期に1回」、という内容であれば、顧問料は恐らく大幅に異なります。売上規模が数千万円レベルでも年間数十万円、もっと規模が大きければ年間100万円単位で税理士さんの報酬が異なるはずです。