個人事業主、法人代表者、どちらも事業の代表者であり、経営者です。
ただ、開業・独立や代表者になるまでの経緯は皆さん異なります。
そして、その経緯によって、得意・不得意が存在するのが事実です。

力仕事や現場での作業等は、職人を経て独立された方の専門分野だと思います。
また、営業出身で独立された社長は、新規の取引を開拓するのは得意だと思います。
ただ、どんな事業・法人でも、共通に行わなくてはならないのが、税務・会計の作業です。

得てして、上記のように現場や営業が得意という社長たちは、事務作業が苦手だったり、全く経験してきていなかったりという方たちもいらっしゃいます。

では、税務・会計の基本となる「記帳」、つまり簡単に言うと帳簿作成の作業ですが、苦手であれば、外部の人にやって頂かないと、申告書も作れません。申告書が作れなければ、無申告=脱税となってしまいますので、必然的に経理の担当者が在籍するまでは、外部に依頼する、つまり「記帳代行」を依頼することになると思いますが、これってどこに依頼するのが良いのでしょうか?

●記帳代行の依頼先候補
記帳代行の業務を依頼することになる場合、大きく分けて3パターンの候補が考えられます。まずは、下記の表をご覧ください。

項目 税理士 記帳代行会社 その他(地場業者等)
価格
速度 普通 早い 普通〜早い
申告書作成・提出 応対可能 ×(提携先による) ×

まず、税理士ですが、税理士事務所が記帳代行会社を併設している場合を除き、基本的に上記3パターンの中では最も高くなると思います。また、職員数も限られている為、作業速度にも限界があります。
ただし、税務署に提出申告書作成・提出代行は、税理士(税理士法人)のみが出来る業務です。一つの窓口で全て依頼するのであれば、必然的に税理士に依頼せざるを得ません。
また、さらに税理士だけが出来るのが「税務相談」であり、節税相談や税額のシミュレーションの相談、いわゆる「顧問」としての契約が可能になります。
費用は3つのうちで最も値が張りますが、それだけ依頼できる分野が大きくなり、契約の意義が最も高いものです。

次に記帳代行会社ですが、最も魅力的なのは価格です。大手も多数存在する業界なので、業界間で価格競争が発生し、利用者にとっては非常に手頃な利用がしやすくなっています。また、それだけ低価格に出来る所は、作業人員も多く抱えているため、記帳の速度も非常に速いことが多いです。
ただし、申告書の作成・提出代行は法律違反となるため、記帳代行会社では受けられません。その代わり、税理士事務所と提携している大手の記帳代行会社は、提携先の税理士へ申告書作成を依頼することが可能だったりします。もちろん、その場合は別途費用が発生しますが、個別に税理士事務所に依頼するよりはトータルとしても安価に収まるでしょう。

最後に、その他(地場業者等)という事ですが、何故これが存在するのか疑問を持つ方もいらっしゃると思います。簡単に言うと「税理士と契約するほど費用は払えない」、「でも大手の記帳代行会社は顔が見えないし不安」という要望のお客様がいらっしゃるからです。こちらも、大手の記帳代行会社ほど料金は安くありませんが、税理士よりは安値でしょう。納期に関しても、顔が見える分、ある程度融通が利くはずです。具体例を出すと、行政書士事務所等が記帳代行のサービスを行っていたりします。
ただし、記帳代行会社同様、税務の分野までは業務を受けることが出来ませんので、申告書作成・提出までは依頼することが出来ません。

結局のところ、経理を自社で雇った後は税理士としか関与しなくなると思いますが、スタートから同じ人で付き合うなら「税理士」と契約、出来る限り費用を抑えたいなら「記帳代行会社」、費用も抑えて顔が見えるなら「地場の業者」ということになると思います。