1. 税理士変更の結論:最良のタイミングは「新年度(期首)」から
税理士変更において、契約上のトラブルや費用の無駄が最も少ないのは、「新年度(期首)」からの契約です。
前年度の決算までは旧事務所にしっかり応対してもらい、新しい年度のスタートから新しい税理士にバトンタッチするのが最もスマートです。ただし、このスケジュールで進めるためには、新年度が始まる1~2カ月前から準備を開始するのが理想的です。
2. 【比較表】税理士変更のタイミング別メリット・デメリット
| タイミング | おすすめ度 | 特徴と注意点 |
| 新年度(期首)から | ★★★★★ | 最良の選択。 料金重複がなく、前期決算まで旧事務所が完遂。 |
| 決算直前 | ★★★★☆ |
新年度に間に合うが、検討時間が少なくなるのが難点。 |
| 前期決算申告終了後 | ★★★☆☆ | 旧事務所対策は万全。ただし、料金重複か空白期間が発生。 |
| 期中(半年以内) | ★★★☆☆ | 早期解決できるが、料金の重複が若干発生する。 |
| 期中(半年以降) | ★★☆☆☆ | 決算からの応対となると、新規税理士が断る場合がある。 |
3. ケース別:税理士切り替えの判断ポイント
① 最良のタイミング:新年度(期首)からの契約
契約上のトラブルや引き継ぎのストレスが最も少ないパターンです。
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メリット: 前年度の決算は旧事務所に実施してもらった上で、新年度から心機一転、新事務所との付き合いをスタートできます。顧問料の二重払いも発生しません。
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動き方: 新年度が始まる1~2カ月前から新しい税理士探しを始め、余裕を持って面談・選定を行うのがコツです。ただし、税理士の一般的な繁忙期が2月中旬~3月、5月となりますので、ご自身の決算期1~2カ月前が丁度その時期にあたる「4月・5月決算の方」、「6月・7月決算の方」に関しては、余裕を持って先に候補選びを始めても良いかもしれません。
② 決算直前からの検討
「次の年度からは新しい先生にお願いしたい」と決算ギリギリに思い立った場合です。
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注意点: 新年度からの契約に間に合わせることは可能ですが、お客様自身が比較検討する時間が少なくなってしまいます。「本当にこの先生でいいのか」を吟味するためにも、早急に紹介会社へ相談することをお勧めします。
③ 前期決算申告終了後
前期決算から約2か月後、決算申告まで旧事務所に完遂してもらってから、新事務所と正式に契約を行う方法です。
- メリット: 新年度(期首)からの契約変更だと、旧事務所が決算書を完了させる前に契約解除を伝えることになるので、旧事務所のモチベーション低下(や、万が一の嫌がらせ)を懸念される方にはオススメです。決算完了前まで契約解除するという情報を伏せることが出来ます。
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リスク:決算作業を旧事務所が行っている期首の2カ月間は、新年度の処理や作業に入っていないものの月額顧問料を旧事務所に払うことになります(契約が続いているため)。ですが、新しい税理士とは契約前なので、その間は具体的なサービスが受けられません。この約2カ月間については、早めに新規事務所と契約して料金重複を許容するか、事実上税理士のサービスが受けられていない空白期間を設けるか判断することになります。
④ 期中(半年以内)での変更
「今の税理士事務所を一刻も早く変更したい」という場合は、期中変更も十分選択肢に入ります。
- リスク: 既に現事務所に支払っている報酬(月額顧問料等)は返還してもらえない為、期中から税理士変更を行うと料金重複・二重払いが発生する可能性があります。
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判断基準: 多少の料金重複が発生しても、「現在の事務所の顧問料が高すぎる」場合や、「不満・不安等によるストレスが限界に達している」場合は、決算を待たずに動くべきです。本業の成果を上げるためにも、出来る限りストレスの原因は早く解消してしまった方が良いです。
⑤ 期中(半年以降)の変更
この時期の変更は、「期中(半年以内)の変更」でも記載したリスク(料金重複・二重払い)の可能性が非常に高くなるだけでなく、他の懸念点も発生します。
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リスク: 期中の変更となるので今期の決算から新しい税理士が担当することになりますが、決算直前での依頼の場合「ほぼ2カ月程度の期間で1年分の数字をまとめて決算を行う」ということになります。新しい税理士側からすると「急に決算だけ任される」ことになるため、事務所の体制・方針によっては「他の業務の兼ね合いがあるため急な決算は受けられない」「決算申告のみは応対しない」ということで希望する事務所側に断られてしまう可能性があります。
4. 失敗しない税理士切り替えのチェックリスト
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現在の契約書の確認: 「解約の何ヶ月前に通知が必要か」をまずチェックしましょう。大半の税理士は1カ月前告知なので問題無いと思いますが、中には3カ月前・半年前告知と記載している事務所もあります。税理士の変更へ具体的に動き出す前に、必ず確認しましょう。3カ月前、半年前告知と記載の書類であった場合は、相当早めに税理士変更に動き出す必要があります。
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不満の言語化: 「何が嫌だったのか」「何で困ったのか」等を整理することが重要です。税理士紹介担当者へきっちりお伝え頂ければ頂くほど、それを解消できる税理士との良い出会いが期待できます。
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未払い金が無いかどうか: 税理士は事業主の「代理人」なので、基本的には依頼者である事業主側が依頼をする・しないを決定することが出来ます。ただし、契約解除時に唯一問題になるのが、税理士側に対して未払い報酬があった場合です。過去に未払いがあって解消していない場合は、早急に解消しましょう。
5. 税理士変更でよくある質問(FAQ)
Q:今の税理士に解約を伝える際、どう言えばいいですか?
A: 最も波風が立たないのは「親族や知り合いが税理士として独立したので、そちらと契約することになった」という理由です。不満を直接伝えると引き止めに合う可能性があるだけでなく、相手も感情的になったり、不必要に険悪になったりする可能性があります。やむを得ない事情を伝えるのが円満な解約のコツです。
Q:期中の変更で、前の税理士から資料を返してもらえないことはありますか?
A: 預けている通帳や領収書などの原本、および決算書などは、法的に依頼者(お客様)の所有物です。返却を拒否することはできません。書類返却を拒否すると最終的には税理士側が罰せられることになるのでほぼ無いと思いますが、万が一、トラブルになりそうな場合は紹介会社へご相談ください。
Q:新しい税理士に以前の会計ソフトのデータは引き継げますか?
A: 多くの会計ソフトでは「CSV書き出し」が可能です。新しい税理士が異なるソフトを使っていても、データの取り込みは可能です。ただし、旧事務所と新事務所が利用しているシステムによっては互換性が無い場合もあるので、その場合は紙ベースの資料やPDF等の資料から内容を取り込んでいくことになります。
Q:旧事務所から新しい事務所にデータや書類を直接送ってもらうことは可能?
A: これはNGです。税理士は守秘義務が課せられており、依頼者の情報を外部に渡すことができません。「○○社の顧問を私が務めています」という情報すら、依頼人である○○社の許可が無いと公に出来ません。その為、旧事務所も新事務所も相互にお客様の情報を出すことが出来ないので、データや書類を直接送ってもらうだけでなく引継ぎなども出来ません。契約解除の意向を伝える際に、一緒に書類やデータの返却をお客様から旧事務所に連絡頂き、それをお客様から新事務所へご提供ください。何を返却してくれと言えばいいか分からないという場合は、新事務所側が指示してくれますのでその内容通りに旧事務所へお伝えください。
Q:紹介会社を通すと費用が高くなりますか?
A: いいえ、紹介会社を利用することで税理士報酬が高額になることはありません。弊社はご依頼頂いた事業主様のご料金要望も含めて紹介する税理士と交渉しておりますので、基本的には概ねご希望頂いた費用感でご成約に至っております。その為、一般的な税理士報酬相場感よりも高くなることはありませんが、逆に相場感より大幅に低い金額をご要望された場合は、そのご要望に沿えない場合もございます。
まとめ:迷ったらまずは「切り替えのシミュレーション」を
税理士の変更は、タイミングと準備さえ整えば決して難しいことではありません。むしろ、不満を抱えたまま契約を続けることこそ、経営にとって最大の経営リスクといえます。
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新年度からの切り替えを目指し、1〜2ヶ月前から動き出す
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今の事務所への断り方は「やむを得ない事情」を優先する
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期中や決算直前でも、まずは紹介会社に変更した場合はどうなるのかを確認する
「自分の場合はいつ動くのがベスト?」「今の不満を解決できる税理士はいる?」と少しでも気になったら、まずは弊社にご相談ください。
お客様の状況をヒアリングし、スムーズな切り替えスケジュールのご提案と、最適な税理士の選定を完全無料でサポートいたします。


